Shopify でチャットボットを探すと、App Store には数多くのアプリが並びます。ところが日本語で比較した記事を探すと、ほとんどが英語のブログで、日本語で使えるのか、いくらかかるのか、無料でどこまでできるのかが分かりにくいのが実情です。
この記事では、Shopify App Store の公式ページで確認できた情報にもとづき、5製品を比較します。日本語の画面や回答が必要かどうか、AI型とシナリオ型のどちらが合うかといった、選ぶ前に押さえたい軸もあわせて整理します。
本記事の情報について: 評価・レビュー件数・料金・対応言語は、2026年10月25日時点の Shopify App Store 公式ページの記載にもとづきます。料金・仕様は変更されることがあるため、導入前に必ず各公式ページで最新の内容をご確認ください。なお、ものしりAI は私たちが開発する製品です。自社として公平に扱うよう努めますが、その前提でお読みください。
この記事で分かること
- Shopify チャットボットのタイプの違い(AI型・シナリオ型・ヘルプデスク型)
- 5製品の評価・料金・対応言語の一覧比較
- 「無料」の範囲と、料金の出方の違い
- 日本語で運用できる製品がどれだけあるか
- 目的別に、どれを選べばよいか
1. まず結論:目的別の早見表
| やりたいこと | 向いているタイプ | おすすめの製品 |
|---|---|---|
| 費用をかけずに、まずストアに入れてみたい | Shopify 純正の AI | Shopify Inbox |
| 自社の配送・返品ポリシーを日本語で答えさせたい | 自社資料にもとづく AI 型 | ものしりAI |
| 注文状況の照会など、ストアのデータを使った対応をしたい | ストア連携型のアプリ | Shopify Inbox / Intercom |
| 人が対応するチャットと、シナリオ・AI を一体で運用したい | チャット+シナリオ・AI | Tidio / Re:amaze |
| サポート担当を置いて、問い合わせを一元管理したい | ヘルプデスク型 | Re:amaze / Intercom |
| アプリの権限を渡さずに設置したい | 埋め込みコード方式 | ものしりAI |
「チャットボットが欲しい」といっても、要件が「配送や返品の質問を減らしたい」のか「注文の個別対応まで自動化したい」のかで、選ぶべき製品は変わります。
2. AI型とシナリオ型の違い、Shopifyではどちらを選ぶか
比較に入る前に、方式の違いを整理します。
- AI型: ポリシーや FAQ などの資料を読み込み、訪問者が自由な文章で入力した質問に、資料の内容から文章を組み立てて答える方式です。Shopify Inbox の AI、Tidio の Lyro、ものしりAI などが当たります
- シナリオ型(ルールベース): 「配送について」「返品したい」といった選択肢と回答をあらかじめ作っておき、訪問者にボタンで選んでもらう方式です。Tidio の Flows のように、AI を使わず分岐を組む機能がこれに当たります
| シナリオ型 | AI型 | |
|---|---|---|
| 質問の受け方 | 用意したボタンを選んでもらう | 自由な文章で入力してもらう |
| 想定外の質問 | 答えられない | 資料に書いてあれば答えられる |
| 始めるまでの準備 | 質問と分岐を設計する | 既存のポリシーや FAQ を入れる |
| 内容が変わったとき | 該当する分岐を探して直す | 資料を差し替える |
| 注意点 | 分岐が増えるほど保守が重くなる | 資料が古い・曖昧だと答えもずれる |
Shopify ストアでは、質問の大半が配送・返品・サイズ・支払い方法といったポリシー系に偏ります。答えが既存のページに書いてあるなら、分岐を設計するよりも資料を読ませる AI 型のほうが早く始められます。一方、割引コードの案内や注文状況の確認のように、決まった手順やストアのデータが必要な対応は、シナリオやストア連携のあるアプリが得意です。
3. 選ぶときの4つの軸
軸1: 日本語で完結するか
ここが最初の分かれ道です。管理画面が英語でも設定はできますが、お客様に表示される回答が日本語で自然かどうかは別の問題です。後述のとおり、App Store の対応言語に日本語が含まれる製品は限られます。
軸2: ストアのデータを使った対応が必要か
注文状況の照会やキャンセルのように、ストアの注文データを参照・操作する対応は、Shopify と連携するアプリでないとできません。その代わり、顧客・注文・商品データへのアクセス権限をアプリに渡すことになります。配送や返品などポリシーへの回答が中心なら、権限を渡さずに済む方式で足ります。
軸3: 料金がどう増えるか
月額固定か、会話数に応じて増えるか、スタッフ数に応じて増えるかで、問い合わせが増えたときのコストの出方が変わります。セールで問い合わせが跳ねるストアほど、ここは重要です。
軸4: 無料の範囲
無料プランがあっても、期間・会話数・機能の制限は製品ごとに違います。まず無料で自分のストアの質問を集め、そのうえで判断するのが確実です。
4. 5製品の比較表
Shopify App Store 公式ページの記載(2026年10月25日確認)です。料金は USD 表記のものは公式どおりドルで記載しています。
| 製品 | 提供元 | 評価 | 提供形態 | 対応言語(App Store の記載) |
|---|---|---|---|---|
| Shopify Inbox | Shopify | 4.6(5,804件) | アプリ | 日本語を含む21言語(開発元による日本語での直接サポートはなし) |
| Tidio | Tidio | 4.8(1,359件) | アプリ | 英・独・仏・伊・葡(BR)・西(日本語は含まれない) |
| Re:amaze | Re:amaze | 4.4(181件) | アプリ | 英語のみの記載(日本語なし) |
| Fin AI Agent & Intercom | Intercom | 3.7(18件) | アプリ | 英語のみの記載(日本語なし) |
| ものしりAI | ものしりAI | レビューなし | カスタムLiquid(アプリではない) | 日本語・英語・中国語・韓国語 |
そして、料金と機能の比較がこちらです。
| 製品 | 料金(公式の記載) | 無料の範囲 | AI の位置づけ |
|---|---|---|---|
| Shopify Inbox | 無料 | 利用上限の記載なし | AI が商品提案・FAQ・注文状況・割引・挨拶に自動応答 |
| Tidio | Customer Service 29ドル/月(100会話。250〜1,000会話は59ドル)、Flows 29ドル/月(訪問者4万人まで)、Lyro AI Chatbot 39ドル/月(年払い390ドル、Lyro 200会話まで) | Free プランあり(Live Chat 50ユーザー、Flows は訪問者100人/月まで)。各有料プランは7日間無料トライアル | AI チャットボット「Lyro」を有料で提供 |
| Re:amaze | Basic 29ドル/月、Pro 49ドル/月、Starter 59ドル/月(500会話込み、追加100会話パックは15ドル)、Plus 69ドル/月。スタッフ追加は1人ごとに同額 | 14日間トライアル | AI チャットボットあり。AI エージェントの解決件数が Basic は1ユーザーあたり月5件、Pro は10件、Plus は20件 |
| Fin AI Agent & Intercom | Fin 成果1件あたり0.99ドル、Essential 39ドル/月(年払い348ドル)、Advanced 99ドル/月(年払い1,020ドル)、Expert 139ドル/月(年払い1,584ドル)。いずれも1席あたり | 各プラン14日間トライアル | Fin が商品提案・質問への回答・注文照会の解決を行う |
| ものしりAI | Free 0円(月150回)/ Light 2,980円(1,000回)/ Standard 7,980円(3,000回)/ Pro 29,800円(20,000回) | Free プラン(月150回) | 自社資料(PDF・テキスト)をもとに回答 |
注意: Re:amaze と Intercom は、App Store の対応言語欄が英語のみです。実際の回答言語や機能は、各社の公式ドキュメントや無料トライアルでご確認ください。
5. 製品別の短評
Shopify Inbox — 無料で始められる Shopify 純正の AI
提供元は Shopify 自身で、無料・評価4.6(5,804件)と、5製品の中で最も多くのレビューを集めています。説明は「An AI sales associate for your online store」。ストアのカタログ・ポリシー・ストア内容から学習し、トーンやルールを設定でき、商品提案・FAQ・注文状況・割引・挨拶に自動で応答します。分析機能もあります。対応言語に日本語を含む21言語が並びます。
注意点は2つあります。1つは、App Store に**「開発元による日本語での直接サポートはない」**と記載されていること。もう1つは、顧客データ・注文・商品データへのアクセス権限を求めることです。また、レビューには「AI が間違える、何度も誤ってオフにした」という声も1件あります。
向いているケース: 費用をかけずに、ストアのデータと連携した AI をまず試したい。 向かないケース: アプリへの権限付与を避けたい。日本語での直接サポートを前提にしたい。
Tidio — 無料枠のある、チャット+シナリオ+AI
評価4.8(1,359件)と高評価です。Free プランに Live Chat(50ユーザー)と、シナリオを組む Flows(訪問者100人/月まで)が含まれます。AI チャットボット「Lyro」は有料で、39ドル/月(年払い390ドル、Lyro 200会話まで)です。いずれのプランも7日間の無料トライアルがあり、課金は USD です。
最大の注意点は、対応言語が英語・ドイツ語・フランス語・イタリア語・ポルトガル語(ブラジル)・スペイン語で、日本語を含まないことです。
向いているケース: 英語圏などへの越境販売が中心で、人が対応するチャットと AI を併用したい。 向かないケース: 日本語のお客様に日本語で自動応答させたい。
Re:amaze — ヘルプデスク型で、スタッフ数に応じて増える
評価4.4(181件)。問い合わせの一元管理が中心のヘルプデスクで、AI チャットボットも備えます。Basic 29ドル/月、Pro 49ドル/月、Starter 59ドル/月(500会話込み、追加100会話パックは15ドル)、Plus 69ドル/月で、いずれも14日間のトライアルがあります。スタッフを追加すると1人ごとに同額がかかるため、サポート担当が増えるほど費用が増えます。AI エージェントの解決件数にはプランごとの上限(Basic 月5件、Pro 10件、Plus 20件、1ユーザーあたり)があります。対応言語は英語のみの記載です。
向いているケース: サポート担当を置き、複数チャネルの問い合わせを一元管理したい。 向かないケース: 日本語での運用が前提。AI 回答を大量に回したい。
Fin AI Agent & Intercom — 成果課金の AI エージェント
評価3.7(18件)と、レビュー件数は少なめです。Fin は商品の提案・質問への回答・注文照会の解決を行う AI エージェントで、成果1件あたり0.99ドルの従量課金です。ヘルプデスクの Essential は39ドル/月、Advanced は99ドル/月、Expert は139ドル/月で、いずれも1席あたり、14日間の無料トライアルがあります。App Store の対応言語欄は英語のみです。
向いているケース: 解決した件数に応じた課金を許容でき、英語での対応が中心。 向かないケース: 問い合わせ数が多く、月額を固定したい。日本語での運用が前提。
ものしりAI — アプリなしで、自社資料から日本語で答える
私たちが開発している製品なので、できることとできないことを正直に書きます。
設置はアプリではなく、カスタムLiquidです。テーマカスタマイザーに埋め込みコードを1行貼るだけで、アプリのインストールも、ストアのデータへのアクセス権限の付与も要りません。配送ポリシー、返品ポリシー、サイズ表、特定商取引法に基づく表記など、自社資料(PDF・テキスト)をアップロードするとその内容から回答します。日本語・英語・中国語・韓国語に対応しています。料金は Free(月150回)から始められ、有料は Light 2,980円(1,000回)、Standard 7,980円(3,000回)、Pro 29,800円(20,000回)で、ユーザー数は無制限です。
向かない場面もあります。注文状況の照会・キャンセル・決済の処理といったストアの操作はできません。チェックアウトページには表示されません。また、テーマを差し替えると設置が消えるため、リニューアル後は再設置が必要です。App Store にアプリとして掲載されている製品ではないため、レビューもありません。
向いているケース: 配送・返品・サイズ・支払いなど、ポリシー系の質問を日本語で自動応答したい。アプリの権限を渡したくない。 向かないケース: 注文データを使った個別対応までボットに任せたい。
設置の手順はShopify にチャットボットを設置する方法に、機能の概要はShopify 連携ページにまとめています。
6. 料金の出方は、製品によって違う
同じ「無料で始められる」でも、問い合わせが増えたときの費用の出方はまったく違います。
- 無料(Shopify Inbox): 利用上限の記載はありません。代わりに、ストアのデータへのアクセス権限を渡します
- 月額固定+会話数の枠(Tidio、ものしりAI): プランごとに会話数や回答回数の上限があり、月額が読めます。ものしりAI は月150回の無料から、1,000回で2,980円、3,000回で7,980円と段階的に上がります
- スタッフ数に応じて増える(Re:amaze): スタッフを追加すると1人ごとに同額がかかります。会話数が増えても人数が同じなら月額は変わりません
- 成果に応じて増える(Intercom の Fin): 解決1件ごとに0.99ドルがかかります。問い合わせが増えれば比例して増えるため、セールの前後で月額が大きく動く可能性があります
小規模なストアで「予想外の請求を避けたい」なら固定枠の製品、サポート担当が複数いるならスタッフ数ベースの製品、というのが一つの目安です。料金プランの詳細はものしりAIの料金ページをご覧ください。
7. 日本語対応は、まだ空白に近い
今回確認して意外だったのがここです。App Store の対応言語に日本語を含むのは、5製品のうち Shopify Inbox(21言語の1つ)とものしりAI だけでした。Shopify Inbox も「開発元による日本語での直接サポートはない」と記載されています。
Tidio は日本語を含まず、Re:amaze と Intercom は英語のみの記載です。海外製のヘルプデスクや AI エージェントは、英語圏のストアを前提に作られていることが多いようです。
日本語のお客様に日本語で自動応答させたい場合は、回答が日本語で自然に出るかを、無料枠やトライアルで実際に試して確認することをおすすめします。管理画面が英語でも設定はできますが、設定を他の担当者へ引き継ぐ場面や、トラブル時に日本語で調べたい場面で差が出ます。
8. 選び方フローチャート
- ストアの注文データを使った対応(注文状況の照会など)まで自動化したいか?
- はい → Shopify Inbox(無料で試せる)/ Intercom の Fin。日本語での回答品質は、無料枠やトライアルで確認する
- いいえ、配送・返品・サイズなどポリシー系の質問に答えられれば十分 → 2 へ
- アプリへのアクセス権限を渡したくないか?
- はい → ものしりAI(カスタムLiquid方式)
- いいえ、権限を渡してよい → 3 へ
- 日本語のお客様に日本語で答えたいか?
- はい → Shopify Inbox / ものしりAI。どちらも無料枠で回答を試し、自然さを比べる
- いいえ、英語圏の販売が中心 → Tidio / Re:amaze / Intercom
- 人が対応するチャットを併用するか?
- はい → Tidio / Re:amaze
- いいえ → ここまでの結果で選ぶ
迷ったら、無料で使える Shopify Inbox と ものしりAI の Free プランを同じ質問で試して、回答の自然さを比べるのが確実です。
まとめ
- Shopify のチャットボットは、ストア連携のアプリ型と、自社資料で答える埋め込み方式に大きく分かれる。注文データを使った対応が要るかどうかが最初の分かれ道
- 無料で試せるのは Shopify Inbox とものしりAI(月150回)、Tidio(Free プラン)。ただし無料の範囲と、求められる権限は製品ごとに違う
- 日本語対応は限られる。App Store の対応言語に日本語があるのは、5製品中 Shopify Inbox とものしりAI だけ。Tidio・Re:amaze・Intercom は日本語を含まない
- 料金の出方は、無料・月額固定・スタッフ数・成果課金と製品ごとに違う。セールで問い合わせが跳ねるなら、固定枠の製品のほうが読みやすい
- ものしりAI は注文照会・キャンセルなどストアの操作はできず、チェックアウトにも表示されない。ポリシー系の質問を日本語で自動応答する用途に向く
- 料金・仕様は変更されるため、導入前に必ず公式ページで最新の内容を確認する
同じ手順で、WordPress 向けのプラグインを10製品比較した記事もあります。AI型とシナリオ型の違いをより詳しく知りたい方は、WordPress チャットボットプラグインおすすめ10製品を比較もあわせてご覧ください。
よくある質問
Shopifyのチャットボットは無料で使えますか?
使えます。Shopify Inbox は無料で、Tidio にも無料プランがあります。ものしりAI は月150回まで無料です。ただし無料の範囲は製品ごとに違います。Tidio の無料プランは Flows が訪問者100人/月まで、Shopify Inbox は利用上限の記載がない代わりにストアの顧客・注文・商品データへのアクセス権限を求めます。ものしりAI はアプリではなくカスタムLiquidで設置するため、アプリの権限を渡す必要がありません。
日本語に対応したShopifyのAIチャットボットはありますか?
2026年10月25日時点のShopify App Store公式ページでは、Shopify Inbox が日本語を含む21言語に対応しています。ただし「開発元による日本語での直接サポートはない」と記載されています。Tidio の対応言語は英語・ドイツ語・フランス語・イタリア語・ポルトガル語(ブラジル)・スペイン語で日本語を含まず、Re:amaze と Intercom は英語のみの記載です。ものしりAI は日本語・英語・中国語・韓国語に対応しています。
AI型とシナリオ型のチャットボットは、Shopifyではどちらが向いていますか?
配送・返品・サイズ・支払い方法など質問が多様で、既存のポリシーページに答えが書いてある場合は AI 型が向いています。注文状況の照会やキャンセルのように、ストアの注文データを参照・操作する必要がある場合は、Shopify と連携するアプリ型(Shopify Inbox、Intercom など)が向きます。AI 型で一次回答し、個別の照会は有人窓口へつなぐ併用が一般的です。
アプリを入れずにShopifyへチャットボットを設置できますか?
できます。ものしりAI はアプリではなく、テーマカスタマイザーのカスタムLiquidに埋め込みコードを貼る方式です。アプリの権限を渡さずに設置できる一方、テーマを差し替えると設置が消えるため、リニューアル後に再設置が必要です。手順は設置方法の記事で解説しています。
ものしりAIはShopifyの注文状況を調べたり、キャンセルを受け付けたりできますか?
できません。ものしりAI が行うのは、アップロードした自社資料(配送ポリシー、返品ポリシー、FAQ など)にもとづく回答です。注文状況の照会・キャンセル・決済の処理などストアの操作は行わず、チェックアウトページにも表示されません。個別の注文に関する問い合わせは、有人窓口や問い合わせフォームへ案内する形になります。
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